<症例紹介>右腰から足へのしびれと痛み(女性・34歳)

<症状>

長時間の立ち仕事を2ヶ月続けた後、右腰から足にしびれと痛みがでた。その後現在までの3ヶ月間、全く同じ症状とのことでした。

 

<検査と治療>

*初回*

まず検査をしてみると、腰椎4・5番に神経の圧迫がありました。それ以外には両側のインナーマッスル(大腰筋)と両側の大殿筋の筋力低下、軸足の左足から左背面にかけての緊張と胃が上の方に引っ張られていることが分かりました。

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次に反応の出ているところの関係性を検査しました。 すると次の事がわかりました。

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要するに左足裏の緊張が左足から腰部に伝わり、骨盤のねじれと腰椎4・5番の神経圧迫をおこしている事が分かりました。

他にも異常個所はあったのですが、検査の結果、左足裏の緊張が身体全体に与える影響が一番大きい事が分かったので、そこに自然治癒力を集中させる為にそこだけを治療しました。

具体的には、身体の各異常箇所とつながっている足の裏の小さな反応点(直径5ミリ程度)を見つけ、そこを「リコイル」というとてもソフトで低刺激の方法で治療しました。

治療を受けた感じは、足の裏を軽く触れられた程度のものだったと思います。

治療直後に再検査したところ、先ほどまであった身体のいくつかの異常個所の反応はほとんど消え、シビレも軽減、痛みはほとんどなくなりました。

以上の結果から推測出来ることは、軸足(今回は左足)の緊張が段々と身体の上部に広がったことによって腰の神経を引っ張り、右側の坐骨神経痛をおこしたという事です。

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誰でも軸足側は反対側に比べ体重を乗せることが多くなるので、多少は緊張するのですが、寝ている間に解除され、朝にはフラットな状態になります。

ところが、@睡眠不足 A疲労 Bストレスの為身体の緊張がとれない C日中、足腰に力を入れることが多かった。 D日中、立ちっぱなしが多かった。等があると、朝になっても軸足の緊張が残り、次の日からは更に緊張がたまりやすくなるという悪循環になります。

今回の場合は@〜D全部あてはまっていたようです。

また、今回は普段の立ち方に注意してもらう事にしました。立ち方といっても色々あるので、片足ばかりに体重を乗せずに重心を身体の中心におさめやすくする立ち方で、その方にあった方法を検査で確定し、それをアドバイスしました。

 

*2回目*

約一週間後の2回目の来院時にはシビレは10分の2位に減少し、痛みは昨日ぐらいから出てきたと言っていました。

今回の検査では、軸足の緊張はだいぶ減り、その分、相対的にストレスの問題が浮上してきたことが分かりました。

 

                       <今回の腰痛の治りを邪魔したもの> 

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ストレスと一口に言っても色々ありますが、その方の身体の状態、もしくは内容によって解除するポイントが変わってきます。(ほとんどの場合、声に出してストレスの内容を話してもらう必要はありません。)

@入力経路の問題。(ストレスの刺激によって目や耳などの経路、もしくはそれに関係する脳神経が影響を受けたことが問題。)

Aストレスの内容というよりも、動揺しやすいことが問題。

B過去の精神的トラウマ(外傷)が問題。

C精神的トラウマ(外傷)というよりも、頑張りすぎて疲れていることが問題。(副腎が関与することが多い。)

D身体に疾患があるためにストレスへの許容量が減っていることが問題。

Eストレスの内容というよりも強いショックを受けたことが問題。

Fその他。

 

今回の場合は、@とDにあてはまりました。

Dに関しては、軸足の緊張から伝わった身体のいくつかの個所の緊張でしたので、1回目の治療で少し残った部分を治療することによって解消しました。

@に関しては、目から入ってくるストレスによる眼球運動(目で物を見るには、視力と眼球運動の両方が必要)の障害(脳としてはもうこれ以上ストレスの物を見たくないので見ることをセーブしている状態。) でした。この状態になると視野が狭くなるので、対象物に関係なく、物を見る事自体がストレスになっていきます。

今回のケースでは、脳の前頭前野の活性化と、眼球運動に関する脳神経系のストレス解除をしました。

まとめると、2回目の治療は軸足の緊張の問題の解除と、ストレスの解除をしました。

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*3回目* 

約一週間後の3回目の来院時にはシビレも痛みもあまり気にならない状態になっていました。

3回目の治療は2回目と同じ様に、軸足の緊張の解除と残りのストレスの解除をしました。

ほとんどの場合、軸足の緊張の問題は1〜2回の治療で完了するはずですが、今回もまだあるので、本人に最近の日常生活を尋ねたところ、だいぶ身体が楽になったので立っている時にゆだんして軸足に体重を乗せることを時々やるようになっていたとの事でした。完治する直前に油断されると、再発の可能性が出てくるので注意が必要です。

 

*4回目

更に約一週間後の4回目の来院時には、ほとんど症状は無くなっていました。無理をした次の日だけ、腰に少々痛みが出たそうです。

検査をしてみると、腰の神経圧迫のサインは少しだけ出ていましたが、軸足の緊張とストレスの反応は無くなっていました。(立ち方を気をつけていらしたそうです。)

腰の自然治癒力を邪魔している優先順位1番と2番が無くなっていたので、3番があるかどうか調べてみました。すると、横隔膜が少し邪魔している事が分かりましたので解除することにしました。

 

           <今回の腰痛の治りを邪魔したもの> 

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横隔膜は息を吸う時に使う筋肉で、身体の他の色々な場所に深く関係しあっている筋肉です。

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その為、横隔膜が悪くなると身体の色々な場所に負担がかかります。例えば、

@呼吸が浅くなる為に血液中の酸素量が減り、免疫機能が低下します。

A呼吸をすることにより、内臓を活性化する働きがあり、その働きが妨害される。(つまり、内臓全体の機能低下になる。)

B呼吸をする時、横隔膜の代わりに首・肩周りと腰周りの筋肉を使わなければならなくなります。

私達は一日に数万回も呼吸をしますのでその度ごとに首・肩周りと腰周りを過剰に緊張させる事になり、なにもしなくても負担がかかり、首・肩こりや腰痛になりやすくなります。

C同時に頭蓋骨につながっている首の筋肉に対しても過剰に緊張させる事になるので、顔面や頭蓋骨のゆがみを作りやすくなります。  etc...

上記の理由で横隔膜は非常に重要で、もし、治療をせずにほっておいたらそのうちなってしまったかもしれない、いくつかの病気の予防に今回はなったと思います。

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今回の治療の流れとしては、

@腰を中心とした身体全体への治癒に必要な優先順位の高いもの(治りを邪魔しているもの)を見つけ、(今回は横隔膜でした。)、なおかつ前回までに治療した場所が治癒したかチェック(軸足の緊張とストレス反応はなくなっていました。)しました。

A次に今回、治療の必要な場所(横隔膜)にどの治療法が適切か検査したところ、呼吸のエクササイズが一番適切との結果がでました。

「腰痛にはこのエクササイズ」とか、「肩コリにはこのエクササイズ」といった大くくりのあてはめ方ではなく、人の数だけ違う体質・体型によって、もしくは同じ身体でも時期によって適切なエクササイズを変えてゆく必要があります。

大ざっぱな選び方では大ざっぱな効果しか期待出来ないでしょう。

検査によって選んだ適切なエクササイズはその場で効果が出ることがほとんどです。

今回の場合も、エクササイズをやってもらうことによって、 以下の反応がその場で起こりました。

 

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今回でほぼ治療は完了しましたが、念の為に一ヶ月後、最終チェックをすることにしました。

 

 

 *5回目*(前回から一ケ月後)

状態を伺ったところ、一ケ月の間まったく痛みとシビレが出なかったそうです。

これでまずは大丈夫だと思いましたが、念の為、検査してみました。

腰の神経圧迫、軸足の緊張、ストレスによる身体の影響、そして横隔膜の緊張も改善されたままでした。

今回は腰に関係するところはやる必要がなくなっていたので、全身の健康の底上げを兼ねて、首を中心としたリンパの流れを更に活性化させました。(もちろん、リンパの流れの活性化も検査によって必要性を調べて行いました。)

これで治療は一旦終了にしました。

 

この終了になったところで、患者さんに今後どうするかを以下の3つの中から選んでもらいます。

@とりあえず、腰痛は無くなったのでしばらく様子を見てもらい、何かあったらその時に連絡してもらう。

A数ヶ月に一回、定期的に身体のチェックをする。(間隔は日々の生活の仕方で随時決める。)

Bさらに健康の底上げをする為に治療を続ける。

今回は@を選ばれました。

人によって求めるゴールが違うので、1つの考えを押し付けないようにしています。

 

<まとめ> 

以下に初日から最終日までの治療をまとめてみました。

今回の足腰の痛み、シビレは腰の4番・5番の骨の神経圧迫が直接的原因と思われます。

その治りを妨害していたのが、

1.軸足の緊張

2.ストレス

3.横隔膜の緊張

でした。

腰の4番と5番は直接治療する必要はありませんでした。たとえその4番・5番の治療をしても妨害しているものを解除しないと、その場は良くてもすぐに再発してしまいます。

もしも、まったく同じ腰痛になった人が何人かいたとしたら、自然と治ってしまう人と、そうでない人がいると思います。

その違いの1つは、治り(自然治癒力)を妨害しているものがあるか、ないかです。

自然治癒力が100%働く事が出来れば、自然と治るのです。

この自然治癒力を妨害するものは、身体の色々な場所にある可能性があります。(頭のてっぺんから足の指先までいたるところに。)

ですので、検査も身体のすみずみまでする必要が出てきます。さらに言うと、身体の異常な場所すべてを治療すれば良いわけではありません。ポイントを見つける必要があります。そしてそのポイントは同じ腰痛でも人によっても違いますし、同じ人でもその時によっても違ってきます。

毎日、毎回、検査を徹底してやることによって、同じ身体でもその時々によって変わる可能性のある、その方独自の治療ポイントを特定しています。                          

                                                                                                                          

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